今回の発表はESMO2014の発展形です。抗癌剤による末梢神経障害に対する対策として、ストッキングによる圧迫と、予防的薬物療法が効果があることを発表してきましたが、なぜ効果があるのかを明らかにするために、血流測定を行いました。しびれと血流、日本人なら正座で足がしびれることを考えるとすぐに発想できますね。
そこでドップラー血流計を使って、圧迫前後で血流を測定してみました。すると、抗がん剤治療をされている方々の皮膚血流がさがっていることがわかりました。さらに圧迫することで血流が回復することがわかりました。そして末梢神経障害のグレード別にみてみると障害グレードの軽い方が圧迫により血流の回復がよいことがわかりました。ここが今回のポイントです。圧迫で血流の回復の悪い方は末梢神経障害の程度が強く、回復がよい方はしびれが軽いという可能性がわかりました。つまり、圧迫と皮膚血流のあいだになんらかの関係があり、それが神経障害の症状のつよさに関連しているかもしれないのです。
発表の内容をあたまの中でまとめながら、アラスカ上空へ向かいます。